≪Blog≫日本とベトナムの仕事文化の差異 ~(3)世界の常識とかけ離れている?日本の時間厳守文化 ~
日本とベトナムの仕事文化の差異
~(3)世界の常識とかけ離れている?日本の時間厳守文化 ~
こんにちは!株式会社Futaba事務局です。
あっという間に12月。
2021年も残すところあと3週間余りとなりました。
12月の和名は「師走(しわす)」です。師は僧侶のことを指しており、
お坊さんのような普段落ち着いている人でも、この月は多忙で走り回るように
なるという意味から名づけられたとされています。
仕事の場面においては、取引先への挨拶回りや忘年会など、他の月にはないような
約束事が12月にはどっと増えます。
1日に何件も予定が入り、分刻みのスケジュールで動くことも珍しくありません。
どんなに多忙でも約束の時間どおりに動いていく。
そして、万が一遅れる場合は早めに相手へ連絡する。
なぜなら、時間を守れないことにより相手の貴重な時間を奪い、
大きな迷惑をかけてしまうから。
日本では当たり前の感覚であり、慣習です。
たとえ遅刻の理由が電車の遅延であっても、
“約束を順守できなかった自分が悪かった”と相手に詫びることが当然の礼儀と
なっています。
さらにもっと言えば、電車を遅延させた鉄道会社も、原因が自社にないにせよ
乗客に迷惑をかけてしまったという事で、必ず謝罪のアナウンスを流します。
日本に住む外国人に“自国と日本の違いは?”と尋ねると、
かなりの高確率で、この「時間厳守文化」が挙げられます。
電車が必ず時刻表どおりに来ることは世界的にも有名であり、
約束の5分前行動というマナーを最優先の常識として来日前に学んでくる外国人も
少なくありません。
それほど世界の常識とかけ離れている、日本特有の文化なのです。
ベトナム人から見ても、日本の時間厳守文化は独特なものに映るようです。
ベトナムでは、約束の時間に対して数分遅れるのが普通です。
そして、それは生活様式に根付いているので、多くの人がそれについて
不平を言うことはありません。
いわば「お互い様」であり、時間を守らない・守られないという事が起こっても、
迷惑をかけた・かけられたというネガティブな感覚には陥らないのです。
当然、ベトナムにも「約束時間」や「規定時間」という概念は存在し、
仕事も生活もそれに従って動いています。しかし、一分一秒まで厳密に時間を守る
ことを優先しなければならない、という価値観はありません。
優先されるべきは時間より個人や身内の事情であり、それにより約束を多少守れない
のは仕方ない、という感覚が一般的だからです。
時間の順守において、ベトナムのような「お互い様」という寛容さは、
閉塞感ただよう社会に生きる日本の人々にとってはある意味うらやましいと思える
感覚といえます。
しかし、時間を守らない➡関係する人々の貴重な時間を奪う➡迷惑をかける
という原理に基づいた「時間厳守」という慣習は、日本の社会に深く根を下ろしており、
簡単に変えられるものではありません。
外国人材の中には、日本の時間厳守文化は知っていながら、実際に約束の時間を
破った際、相手や関係者に率先して謝ることが出来ない人も少なからず存在します。
この場合、上記の原理までは理解できていないケースが大半です。
時間が守れない外国人材を指導する際には、単に「時間厳守は当然のマナーなので
次回からは守るように」と反省を促すだけでは全く足りず、再発を繰り返す恐れさえ
あります。
時間厳守という考え方の原理まで理解できているのか確認し、丁寧に説明しながら
指導することが重要であると、指導する側は留意しておかなければならないのです。