≪Blog≫ベトナムの旧正月のお祝い
ベトナムの旧正月のお祝い
新年初の配信となります。
皆さま、お正月はいかがでしたでしょうか?
2022年も引き続き、異文化理解への一助となるような情報をお届けできればと思っております。
ご愛読のほどどうぞよろしくお願いいたします。
さて、前回の配信では日本とベトナムの正月文化を比較しました。
その中で、ベトナムを含むアジア諸国では、カレンダーの1月1日ではなく、
旧暦(太陰暦)の1月1日に合わせて正月のお祝いをするという事をご紹介したかと思います。
いわゆる「旧正月」です。
旧正月の日にちは毎年変動し、今年はカレンダー上の2月1日が旧正月にあたります。
日本では旧正月という呼称が一般的ですが、ベトナムでは「Tết(テト)」と呼ばれます。
ほとんどの国民がその前後で大型休暇を取り、盛大に祝うのだそうです。
それでは、ベトナムでは具体的にどのようにお祝いをするのか、代表的な習慣をご紹介します。
1.新芽がたくさん出ている枝を折る
新芽がたくさん出ている枝を折ることは、新年におけるベトナム人の清廉な伝統文化です。
大晦日または元日の早朝に行われ、家に幸運、幸福を呼び寄せるための行為とされています。
お寺や礼拝所などへ行き、4種類(ベンジャミン・ガジュマル・ベンガルボダイジュ・
インドボダイジュ)の木の中から芽がたくさん出ている枝を1本選び、折って自宅へ
持ち帰ります。
この枝は神様や仏陀から施される福を象徴するものであり、芽が多ければ多いほど、
たくさんの幸福がいただけると信じられています。
2.元旦最初の訪問者
ベトナム人は、元日の早朝、最初に自宅へやって来る訪問者が家族全員の一年の運勢を
決めると信じています。
そこで、新年の多幸多福を呼び寄せるため、事前に幸運を持つ人を選び、
元日の早朝に訪問してくれるよう依頼しておくのです。
幸運を持つ人は、「男性・性格が良い人・家の持ち主と相性の良い干支の人」が条件として
挙げられます。
3.言葉に願う
いつからこの文化が始まったのか分かりませんが、古くからベトナムの人々は元日に、
縁起の良い言葉に自分の願いを込める習慣があります。
よく選ばれるのは、心・福・安・徳・智…など、
ベトナムの文化や習慣において大切にされている要素を表しており、ベトナム人が尊重
している言葉です。
これらの中から、一年間の願望に沿って言葉を1つ選び、赤い書道用紙に文字を書いて
祈願します。
あるいは書家が書いたものを購入し、それに願う人も多いとの事。
書家たちが道に店を広げ、客のリクエストに応じて書を披露し、
それを販売するという光景がテトの伝統的な風物詩なのだとか。
ちなみに、現代のベトナム語ではアルファベットに似た文字が使われますが、中国の
王朝に支配されていた影響で漢字を使っていた時代もあったため、テトの書では
好みにより漢字が用いられることもあります。
4.新年初出発の方角
ベトナム人は新年になり、初めて自宅を出る際、縁起の良い方角を事前に調べておき、
その方角に向かって出発します。
迷信かもしれませんが、新年初めての外出で良い方角に向かって歩めば、
その一年の幸運や成功などを招くことができると信じられています。
「一年の幸運を招く」ため、お正月にさまざまな事を行うのはベトナムも日本も同じです。
しかし、ベトナムの人々のほうが信仰や伝統を重んじ、テトの習慣を心から大切にしている
ように感じます。
この事からも、ベトナム人にとってテトがどれほど重要な行事なのかよく伝わってきます。
コロナウイルスの影響もあり、今年も旧正月に合わせて帰国できる外国人材はほとんどいない
と思われます。
正月という最重要行事を母国の家族とともに迎えたい…という気持ちを抑えて日本で頑張って
いる皆さんへ、いつにも増してねぎらいの言葉を掛けたいものですね。